冬のお別れ
お別れの言葉なんて
どこか嘘っぽくて
乾いた言葉の羅列が
こぼれ落ちて行った
この部屋に残っていた
君の匂いもだんだん薄くなって
日常だったあれこれも
溶け出していってしまう
ありふれた生活に戻っただけと
言い聞かせている自分が
少しおかしくて
君がいた毎日は木枯らしになって吹き抜けた
不意に寂しくなった
冬の香りがした
あした朝早くに僕もここを出てゆく
思い出はどこまでも
きれいなまま
くたびれたスニーカーで
並んで歩いた
川沿いの散歩道は
今も変わらない
この街に残っている
君の幻もだんだん薄くなって
当たり前の日々の中に
埋もれていってしまう
テレビから大雪のニュースが流れると
寒がりだった君のことが
少し気になるよ
寒そうに手を擦りながら君は誰かを待ってる
叶うならその誰かに
なりたかった
行く当てのない想いは
雪だるまのように膨らんで
暖かな日差しが溶かす日まで
そのままにしておいて
君と過ごした部屋にありがとうと呟いたら
不意に寂しくなった
冬の香りがした
あした朝早くに僕もここを出てゆく
思い出はどこまでも
きれいなまま